役員報酬はいくらが得か?売上予測から考える役員報酬の最適化について

企業経営において、役員報酬の設定は経営戦略の重要な一部です。役員報酬は、役員個人にとっては給与であり、生活の基盤を支えるものです。しかし企業側にとっては、利益配分や税務計画にも直結するため、その額をどう設定するかは経営上の大きな課題となります。適切に設定することで会社の財務状況を健全に保ち、同時に役員のモチベーションを維持することができますが、不適切に設定すると節税効果が得られないことや、会社に過度な負担をかけることがあります。

この記事では、役員報酬の適切な設定方法について、特に「決算時期の変更」や「事前確定届出給与」を利用することで、会社の利益を最大限に引き出しながら報酬体系を最適化する方法について解説します。

藤間経営コンシェルジュでは、日頃から様々な会社の決算書や試算表を見てきた税理士を母体としているからこそ出来る経営サポートを行っています。税金や経営についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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役員報酬設定の悩みとは?

役員報酬をいくらに設定すればよいのか?

役員報酬の適切な額をどう設定するか、という問題は多くの経営者にとって大きな課題です。たとえば、次のような問題に直面することがよくあります。

  • 税務面での最適化がわからない
    役員報酬をどのくらいに設定すれば節税になるのか明確でないため、最適な額が判断できない。
  • 役員報酬が会社の利益を圧迫
    過剰な役員報酬を計上してしまい、会社が赤字決算に陥るリスクを抱えてしまう。

役員報酬は、業績に応じて柔軟に設定する必要がありますが、税務上のルールや損金算入の要件などの複雑な規定もあり、慎重に計画を立てる必要があります。

課題の根本:収益予測と報酬の乖離

経営者が直面する多くの課題は、収益の見込みと実際の役員報酬額が一致しないことに起因します。将来の業績が不確実な中で役員報酬を設定すると、過大または過小に設定される可能性があり、結果として会社にとって不利な決算結果となる場合があります。

ここで重要なのは、収益予測を的確に行い、それに基づいて適切な報酬額を決定することです。そのためには、役員報酬の決定プロセスを戦略的に見直す必要があります。

決算時期の変更で得られるメリット

決算時期を変更することで収益予測をしやすくする

役員報酬を適切に設定するために、まず考慮すべき手段の一つが「決算時期の変更」です。多くの企業は3月に決算を迎えますが、事業のピーク時期や年間の収益サイクルが必ずしもその時期に一致するわけではありません。事業の季節変動が大きい業種では、決算時期を調整することでより正確な業績予測が可能となり、役員報酬の設定も適切に行えるようになります。

たとえば、季節性が強い小売業では、年末商戦やセール期間などが重要な売上となるため、これらの時期の前に決算を迎えることで、年間の売上予測に対する差を把握しやすくなります。

決算時期変更をした際に考えられる効果

A社(小売業)は、従来3月決算を採用していましたが、事業のピークシーズンが3月に集中していたため、期末に大きな売上が計上されることがあり、正確な年間収益を把握するのが困難でした。そこで、決算時期を1月に変更したところ、ピークシーズンである3月の売上が役員報酬の定時改定時期である4月には判明しているので、年間の売上予測の精度が上がり、役員報酬を適切に設定することができました。また、3月の繁忙期の売上を、法人税等の支払いに充てる事ができるため、キャッシュフローが改善されました。

事前確定届出給与の利用で得られるメリット

事前確定届出給与とは?

「事前確定届出給与」とは、役員に賞与を支給したい場合に支給額や支給時期を事前に税務署に届け出ることで、その報酬を損金算入できる制度です。この制度を利用することで、税務署からの指摘を避け、役員賞与の適切な損金処理を行うことができます。

しかし、ここで気になる点が、業績が不調な時(年間の売上予測以下の売上になりそうな時)でも、事前確定届出給与で定めた支給額を支給しなければならないのかという点です。これについては、支給日よりも前に役員賞与の支給を、役員が辞退することで、会社が赤字に転落するリスクを低減することができます。但し、支給日よりも前に当該役員から役員賞与の支給を辞退する旨の書類を提出してもらい、取締役会等を開催して全額不支給とする決議を行い、その議事録を作成することに留意しましょう。

事前確定届出給与がもたらすメリット

事前確定届出給与を利用することで、以下のメリットが得られます。

  • 税務リスクの軽減
    報酬額を事前に届け出ることで、税務調査での指摘を避けやすくなり、損金処理がスムーズに進みます。
  • 役員のモチベーションの向上

役員は定期同額が基本ですが、直前期で業績が好調だった場合などに、役員の経営力を正当に評価して役員賞与を支給することで、モチベーションを向上させることができます。

  • 会社のキャッシュフロー安定化
    事前に役員報酬を確定させることで、会社の資金計画が明確になり、キャッシュフローの安定化につながります。

なぜこれらの手法が効果的なのか?

税務・財務の観点から見た根拠

決算時期の変更や事前確定届出給与の利用は、税務や財務上のリスクを軽減し、適切な役員報酬設定に貢献します。特に、日本の税法では、役員報酬は適切に申告されない限り損金算入されないため、税務上正しいやり方で行うことが重要です。また、決算時期を変更することで、業績の変動を考慮に入れた柔軟な報酬決定が可能となり、法人税の負担を最小限に抑えることができ、節税効果を見込めます。

まとめ

役員報酬の適切な設定は、会社の財務健全性を保ち、役員のモチベーションを維持するために非常に重要です。決算時期の変更や事前確定届出給与の活用は、会社の税負担を軽減し、財務リスクを回避するための有効な手段です。また、業績に応じた柔軟な報酬体系を導入することで、役員が会社の成長により積極的に関与し、企業全体の利益を増大させることが期待できます。

業種や会社の状況に応じて適切な報酬制度を構築し、長期的な経営の安定と成長を実現するために、今一度役員報酬の設定を見直しましょう。そのためには、年間の売上予測の精度が求められます。

売上予算の策定、月次の実績確認、役員報酬の設定などは藤間経営コンシェルジュにご相談ください。私たち藤間経営コンシェルジュは、日頃から様々な会社の決算書や試算表を見てきた税理士を母体としているからこそ出来る経営サポートを行います。

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