企業の経費削減アイデア10選!具体的で効果的な方法を解説

経費削減アイデア

企業が持続的な成長を遂げるためには、売上の拡大を図るとともに、日々業務の効率化や経費の見直しなどに取り組むことが重要です。
試算表などで定期的な数字の確認を怠っていると、下記のような事態を招くことになります。

  • 過去に導入したシステムや設備の、メンテナンスや更新に多額の費用をかけ続けている
  • 業務が煩雑になり無駄な手間や時間がかかるようになっている

「経費削減はしたいけれど、実際にどのような方法があるのか分からない」という場合は、今回ご紹介する経費削減アイデアを参考に、経費に無駄がないか再確認してみましょう。

経費削減の効果的な進め方

経費削減は割合の高い経費から手を付けるのが効果的です。同じ10%削減できたといっても10万円の10%は1万円ですが、1000万の10%は100万円です。そのため、決算書や試算表の中で金額が大きい経費から検討をすすめましょう。また、検討する経費の判断が難しい場合は、税理士に相談してみるのがおすすめです。様々な企業の決算書をみてきた税理士であれば、どの経費から検討すべきかをアドバイスしてくれます。

ところで経営において人件費は、経費の中でも大きな割合を占める経費であることが一般的です。そのため、経費削減と聞くと人件費の削減が一番に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。しかし人件費の削減は、従業員のモチベーションの低下や生産性の悪化、優秀な人材の流出や、会社イメージの低下に繋がるなど、経営に与える悪影響の可能性が大きくなります。そのため、人件費削減は最後の聖域、つまり経費削減の最終手段と考えましょう。

同業種の勘定科目毎の割合を比較する方法は以下の記事をご参考ください。

経費削減の失敗ポイント

経費削減は適切に実施されることで企業の競争力を向上させますが、逆に効果的でない場合は悪影響を及ぼす可能性があります。また、実行する際は従業員の協力が不可欠です。急に始めるのではなくトライアル期間を設けるなども有効です。そこで、経費削減の失敗を防ぐために注意すべきポイントは以下になります。

  • 製品品質の低下
    製造業などにおいて、製品に使用される部品や原材料を安価な物に変えることで原価を抑えることができますが、以前と遜色のない品質を保てなければ、顧客満足度が低下する可能性があります。
  • サービス品質の低下
    サービス業の場合、従業員の削減や、設備投資を抑制することで経費削減効果が期待できますが、サービスの質が維持できなければ、顧客離れを招く可能性があります。
  • 従業員のモチベーションの低下
    従業員に対する賃金の削減や福利厚生制度の縮小は、製品やサービスに直接的な影響は与えないものの、従業員のモチベーションが低下し、離職率が上がることがあります。また、優秀な従業員の流出により、企業の競争力が低下する恐れがあります。
  • リスクの増加
    安全対策やリスク管理への投資を削減すると、事故やトラブルが起きた際に企業が受けるダメージが大きくなり、また企業の信頼性が損なわれる可能性があります。
  • 事業拡大の抑制
    経費削減を優先し新しいシステムや設備への投資を見送ることで、業務効率化や生産性の向上が遅れる可能性があります。成長に必要な投資はタイミングを見極めることが重要です。

経費削減アイデア10選

経費削減アイデアを次の10選にまとめました。

  1. 保険料やリース料の削減
  2. 家賃の削減
  3. 在庫の最適化
  4. 廃棄物とリサイクルの管理
  5. 水道光熱費や通信料の削減
  6. 購買戦略の見直し
  7. 費用対効果の高い広告手法
  8. 内製化の検討
  9. テクノロジーの活用
  10. 業務プロセスの見直しと効率化

それぞれ具体的で効果的な経費削減方法を詳しく解説します。

1. 保険料やリース料の削減

保険料やリース料は月々に支払う金額は少額でも、最終的な金額は多額になるため、契約時に内容を慎重に検討することが重要です。また、すでに契約済みの保険やリースに関しても、再度見直しを行ってみましょう。不要な保険やリースは解約することも必要です。保険料やリース料の削減の具体的な方法は以下になります。

  • 保険料の見直し
    様々なリスクの備えとして必要なものではありますが、実際には必要の無い保障内容で高額な保険料を払い続けているケースも見受けられます。保障内容を確認しつつ、保障額が過大ではないか、不要な特約が付加されていないかを確認することが重要です。
    また、法人税の節税対策で保険に加入している場合がありますが、満期保険金や解約返戻金に法人税がかかるため、最終的な出口までしっかり計画を立てて加入しましょう。
  • リース料の見直し
    リース料をすぐに削減することは難しいですが、次回のリース契約時に特に以下の点を確認することが重要です。
    • 既存リースの残債を再確認する
    • キャッシュがある場合は買い取りの検討をする
    • 不要な機能やオーバースペックではないか確認する
    • 相見積もり等で相場を確認する

リース満了直前に、新たなリース契約で最新の機器だからと高額な契約を提案され、そのまま契約してしまうケースが多いです。新たなリース契約についてはそのまま再契約するのではなく慎重に検討しましょう。

2. 家賃の削減

業種にもよりますが、家賃は売上の10%が限度と言われています。それ以上に支払っている場合は、家賃のわりに利益の出ない物件と判断し、価格交渉や、移転を視野に入れる必要があります。特に飲食店は場所が経営を大きく左右します。具体的には以下の方法があります。

  • 家賃の価格交渉
    価格交渉は行動を起こしづらい内容ですが、コロナ禍で売上が減少し、このままでは経営が立ち行かないということで家主に家賃交渉をしたところ、2年間限定で家賃を月40万から月30万に下げてもらい240万円削減した企業があります。家主も契約が切れて賃料収入を失うよりは継続する方がメリットは大きいため、価格交渉に応じてくれる場合が多いです。特に売上が落ちている時は価格交渉も検討しましょう。
  • オフィスの場合はリモートワークの導入
    オフィスの場合は、適切な業務においてリモートワークを導入することで、オフィススペースの削減や交通費の削減が可能です。また、従業員のワークライフバランスの向上や人材の獲得にもつながります。リモートワークを推進し規模縮小や郊外への移転を検討しましょう。
  • 賃貸ではなく購入する
    資金があれば購入することもおすすめです。支払う住宅ローンと家賃が同じ金額の場合、住宅ローンは完済したら不動産が残り売却することも可能ですが、賃貸は何も残りません。売上が落ちた時は不動産として活用することもできるため、余裕がある場合は購入も検討しましょう。

3. 在庫の最適化

過剰在庫は、在庫管理に関わる人件費と設備費などの維持費や、保管中の品質低下による廃棄などにより、経費を増加させる原因となります。逆に、在庫不足は欠品により注文が受けられず機会損失に繋がります。そのため、過剰在庫の削減や発注プロセスの適正化を行うことが必要です。

しかし、在庫管理の最適化は担当者の業務負担が増える可能性があるため、在庫管理システムを導入し効率化するのがおすすめです。在庫管理システムを使えば、リアルタイムで在庫を確認でき、需要予測の精度も上がるため、適切なタイミングで必要な在庫を確保可能になります。また、頻繁な在庫数の確認や、伝票や台帳の内容をパソコンへ入力するなどの手作業が無くなり、製品のロットサイズの見直しも可能となるので、業務の効率化が図れます。

4. 廃棄物とリサイクルの管理

廃棄物の削減とリサイクルの活用は、環境に配慮しつつ経費削減が可能です。産業廃棄物は複数の廃棄物が混ざっている場合、高い廃棄物の料金で設定されるため、徹底的に分別すると、棄物処理の経費を削減できます。また、再利用された資材を使用することで新たな資源の購入を削減したり、鉄屑等の金属や古紙など一部の廃棄物は資源として買い取ってもらったりすることが可能です。さらに、環境への配慮が認知されることで、ブランド価値向上にもつながります。

5. 水道光熱費や通信料の削減

エネルギー効率の改善や省エネ対策を推進し、水道光熱費や通信費を削減できます。具体的には以下の方法があります。

  • 契約しているサービスの見直し
    利用量に対して適切なサービスを契約しているのか、必要のないランクの高いサービスで契約していないか再確認し最適化を行います。
  • 省エネルギー設備の導入
    古い設備はエネルギー効率が悪い場合があります。最新の節電・節水機能の付いている設備に変更することで経費を削減できます。
  • エネルギー消費のモニタリングシステムの導入
    エネルギーの使用状況を確認し無駄なエネルギー使用を特定し、ピーク時に使用する機器や設備を制御したり、従業員にエネルギー節約意識を醸成する取り組みを行ったり、電力や通信料金が割安なオフピーク時に業務を行ったりなどが検討できます。

6. 購買戦略の見直し

購買戦略の見直しにより、仕入れ価格を下げ経費削減が可能です。行う際は、仕入れ先の金額は相場と差が無いか、品質と価格が見合っているか、品質が低下しないか等を確認しながら進めましょう。
具体的には以下の方法があります。

  • 仕入れ先の新規開拓
    同じ仕入れ先で長く継続している場合は、相場が下がっていても気付かず同じ価格のまま継続している場合があり注意が必要です。
  • 大量仕入れや現金仕入れを行う
  • 仕入れ先と価格交渉を行う

7. 費用対効果の高い広告手法

広告は費用対効果をきちんと測定し無駄な広告費を削減することが重要です。
費用対効果の測定には以下の方法があります。

  • クーポンの配布
    クーポン使用回数を追跡し、売上や顧客獲得数を計測する
  • アンケート調査
    顧客がどのように知ったのかと、その後の行動の情報を収集する
  • 問い合わせ数とリードの追跡
    広告に記載された連絡先への問い合わせ数やリードの数を収集する
  • 広告掲載期間中と非掲載期間の売上や集客数の比較

広告はオンライン広告とオフライン広告に大別できます。
オンライン広告はインターネットを通じて行われる広告のことで、ディスプレイ広告(Webページ上のバナーやテキスト広告)、検索エンジン広告、動画(YouTubeなど)広告等です。リアルタイムで効果測定が可能です。また、データを活用し特定のターゲットに広告を配信できます。
オフライン広告は新聞・雑誌広告、チラシ、ポスター、看板などです。地域的なビジネスや小規模店舗にとっては費用対効果が高いとされます。
広告手法は様々ありますが、費用対効果をきちんと測定し、ターゲットや目的に応じて使い分けることが重要です。
また、SNS(Instagram・twitter・TikTok・Facebook・Line)は始めるのに一番コストがかからない方法です。誰でも閲覧できるインターネット上で自社の情報を発信し知名度を上げることが可能なためおすすめです。

8. 内製化の検討

一般的に外注費はコスト高で、利益率を下げます。もちろん一部の専門的な業務に関して外注を行うと品質の高いアウトプットが期待できます。しかし、内製化に必要な人員や設備投資をすることで、長期的にはコスト削減につながる可能性が高いです。また外注するよりもコミュニケーションがスムーズになり業務効率が上がり時間の短縮にもつながります。

内製化で変動費を抑えることは、売上が良い時に特に効果のある削減方法です。売上高と固定費と変動費から損益分岐点を求めコスト削減対象を分析する方法は以下の記事を参照ください。

9. テクノロジーの活用

最新のテクノロジーを導入することで、生産性の向上や人件費の削減が可能です。AIやロボティクスの活用により、繰り返しの作業を自動化することで人間のミスも減らせます。ただし、導入する際は、高額な場合が多いため費用対効果を明確にすることが重要です。また、テクノロジーの進化はめざましいものがあり、数年前まで無かった技術が次々に開発されているため、最新の情報を追う必要があります。具体的には、以下のテクノロジーがあります。

  • 産業用ロボット
    ロボットを生産ラインに導入し製品の組み立てや梱包を自動で行います。
  • セルフオーダーシステム
    顧客が自身のスマホでQRコードを読み込み、メニューの閲覧と注文が可能になります。
  • セルフレジ
    顧客が自身でバーコードの読み込みや支払いを行えるレジシステムです。
  • キャッシュレス決済
    カードやスマホで支払いを行うため、現金でのやり取りが不要となり待ち時間の短縮になります。
  • 配膳ロボット
    配膳から下膳までロボットが行い、従業員はその他接客やキッチンでの作業に集中できるようになります。また一度に沢山運べるため、せわしない雰囲気を緩和できます。

10. 業務プロセスの見直しと効率化

業務内容やフローを見直し、無駄な手間や重複作業を排除することで、時間と費用を削減でき、人件費を削減できます。特に製造に関わる部門の残業は、売上に比例しているかどうか確認し、売上以上に残業が多い場合は業務プロセスを確認しましょう。
具体的に以下の削減方法があります。

  • 業務を効率化するシステムの導入
    経費精算システムで申請と承認をシステム上で行えたり、財務会計処理をソフトウェアで管理したり、便利なシステムを活用し管理業務を効率化できます。
  • ペーパーレス化
    紙ベースでやり取りしていた契約書や請求書などを電子化し、業務の効率化と印刷費用の削減が行えます。
  • オンライン会議の活用
    対面ではなくオンラインで会議をすることで、移動に要する時間や交通費を削減できます。
  • 業務をマニュアル化
    業務の進め方を統一し、誰でも同じ品質で業務を行えるようになり、効率化が図れます。
  • 会議の時間や回数、人数などの見直し
    会議は必要なものではありますが、定例会議など開催自体が目的となる会議は、生産性の低い時間になりがちです。会議にも人件費がかかっているということを認識して、今一度見直しを行いましょう。
  • 長時間労働の是正
    ノー残業デーや有休奨励日を設けるなど、限られた時間で成果を出せるよう日々の仕事に対する意識付けを従業員に徹底しましょう。

まとめ

成功の鍵
・品質や顧客満足度とのバランスの取れた削減
・従業員の意識改革と協力
・長期的なビジョンと経営戦略との整合性

経費削減で、今までのやり方を変えるのは簡単なことではありませんが、長期的なビジョンで始めてみることが大切です。今回ご紹介した経費削減アイデアのうち、テクノロジーの活用や業務プロセスの見直し等は、すぐに効果が数値に表れないかもしれませんが、空いた時間を別の業務に割くことで売上の向上に繋がる場合もあります。重要なのは、経費削減を単なる経費削減としてではなく、企業の戦略的な成長を支える要素として捉えることです。経費削減の取り組みを行うことで競争力を強化し、持続可能な経営を目指しましょう!

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