収益改善とは?課題を整理しコストダウンや売上を上げるアイデア

収益改善|課題を整理しコストダウンや売上を上げる

収益改善とは、企業の営業活動により得られる収益構造を分析し、利益を増加させるための取り組みのことです。
新型コロナウイルスの流行、IoTやAIなどデジタル技術の発展、それに伴う消費者行動の変化など、企業をとりまく環境は日々めまぐるしく変化してきました。その変化に適応できない企業は淘汰されることとなり、経営の改善を行った企業しか生き残れません。自社の売上が大きく影響を受けても、その時々の状況に合わせて収益改善を図ることが重要になります。

収益構造が悪いと陥る問題

収益構造が悪化すると、利益率が下がり、資金繰りが悪くなります。そのまま収益構造を見直さず何も改善がないと、いずれ赤字になり、最終的には倒産となってしまいます。
今回は、そうならないための収益改善を図る方法やアイデアを解説します。

収益構造について詳しく知りたい方は以下のコラムをご参照ください。

まずは課題を洗い出し収益改善ポイントを整理する

収益改善では、まず以下の順で収益に関する課題の洗い出しを行います。

  1. 決算書・試算表などの数字を整理し課題を洗い出す
  2. 現場で働く従業員にヒアリングし課題を洗いだす

数字の分析と現場の声の両面から課題を洗い出し、すぐに対応できることと長期的に対応していくことを整理していきます。
次に、売上を上げるアイデアとコストを下げるアイデアを検討していきます。
では、まず課題の洗い方について説明します。

1. 決算書・試算表などの数字を整理し課題を洗い出す

決算書(貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L))・試算表などの数字に基づき、収益性・安全性・生産性・効率性・成長性を分析する財務分析を行います。

前期と当期の比較

前期と当期を比較し、どの項目が増減したのかを確認します。費用が減った時は良い変化ですが、固定費などは、通常は大きな変動がない数値のため、計上漏れが無いか、月がずれていないか等、数字が正しく計上出来ているかも確認しましょう。

営業利益 = 売上総利益(粗利)- 販売費および一般管理費

特に注意したいのは、売上が上がっているのに、営業利益が減少している場合です。その場合は販売費および一般管理費を勘定科目毎に前期比較を行い、どの科目が原因となっているのか一つ一つ確認していきます。その際、勘定科目毎に売上高に対する割合前年比率を算出しましょう。

主な販売費および一般管理費
  • 人件費、法定福利費(人員の増減がなければ、基本的に大きな変動はない)
  • 家賃、リース料、保険料(新規契約または解約がなければ、基本的に金額が変わらない)
  • 交際費、会議費(使い過ぎの要因になり易く、税務署も厳しくチェックする)
  • 広告費、諸会費(一時に支払ったとしても、月割案分が必要な場合がある)
  • 租税公課(税務上、事業税や固定資産税など損金に出来るものは限定されている)
  • 雑費(他の勘定科目に該当しないものとして扱われるが、金額が大きい時は要注意)

売上に対する各勘定科目の割合

売上に対する割合の高い科目は、売上獲得に貢献しているか、削減の余地はないか内容を再確認しましょう。
例えば、新店舗を出店するために人を増やした場合や広告費を増やした場合、そのコストを補える売上を確保できているかどうか慎重に検討が必要です。赤字決算が続いてしまうと金融機関から必要な融資が受けられない場合もありますので注意してください。

 2.社内コミュニケーションにより課題を洗い出す

従業員に、実際に現場で感じている課題をヒアリングします。数字では分からない仕入れ時の問題点やお客様の意見などを拾い上げることができます。
また、収益改善は端的にいうと、売上を上げるか、コストを削減するかのどちらかしかありません。それぞれ、例えば以下のような観点で具体的な意見を集め課題を洗い出します。

売上増加を阻む要因

  • 市場競争において競合他社との差別化が図れているか
  • 商品またはサービスに適正価格を設定しているか
  • リピーター顧客または新規顧客が集客できているか

コストを圧迫する要因

  • 人件費は適正か
  • 家賃、光熱費、設備費は適切か
  • 接待費は適切な金額か、ビジネスに繋がっているか
  • 仕入れ先の金額は相場と差が無いか、付き合いで継続していないか

売上を上げるアイデア

売上を構成する要素には「訪問者数・営業件数」「成約率」「客単価」の3つがあります。これら要素をそれぞれ向上させる必要があります。この3つを向上させるアイデアをそれぞれ具体的に解説します。

売上高 = 訪問者数・営業件数 × 成約率 × 客単価

訪問者数・営業件数を上げるアイデア

訪問者数・営業件数を上げ、売上を上げるアイデアを以下の3つご紹介します。

  • SNS(Instagram・twitter・TikTok・Facebook・Line)などを活用する
    SNSは始めるのに一番お金がかからない方法です。自社の情報を発信し知名度を上げましょう。
  • 展示会やイベントに出店または参加する
    営業であればその場で知り合った参加者と名刺を交換し早期にアポを取りましょう。
  • 新聞・雑誌・Web広告で自社商品を宣伝する
    ターゲットに合わせた媒体で広告を出せると、それだけ効率的なアプローチになります。広告を出す前にターゲット層を明確に決めておきましょう。

成約率を上げるアイデア

成約率を上げ、売上を上げるアイデアを以下の3つご紹介します。

  • 購入者特典などのキャンペーンをする
    購入者に対しポイント付与やオリジナルグッズ特典などのキャンペーンを行います。
  • 期間限定商品を販売する
    期間が限られた商品を販売することで、「今しか買えない」という顧客の購買意欲を刺激し購入を促します。
  • 衝動買いを促せる商品の配置へ見直し
    レジ横や入口すぐの場所など商品陳列の配置を工夫して、衝動買いを促すことができます。おすすめ商品やお得な商品を目立つ場所に配置して顧客の興味を引き、追加購入を促しましょう。

客単価を上げるアイデア

客単価を上げ、売上を上げる営業手法としてはアップセルとクロスセルがあります。

アップセル

アップセルは、すでに自社の商品を検討している顧客や以前購入した顧客に対し、高額なランクの高い商品を提案する手法です。
例えば、洗濯機を購入しようとしている顧客に乾燥機能も付いたドラム式洗濯機を勧めることや、無料版のソフトウェアを使用している顧客に多機能な有料版を勧めることなどです。

クロスセル

クロスセルは、すでに自社の商品を検討している顧客や以前購入した顧客に対し、別の商品をセットや単品で提案する手法です。
例えば、飲食店で単品を注文しようとしている顧客にデザートとセットにするとお得ですよと勧めることや、パソコンを注文しようとしている顧客にマウスやキーボードも一緒に勧めることです。

コスト(変動費・固定費)を下げるアイデア

ここでは、コストを変動費と固定費で分けて考えてみます。それぞれ削減するアイデアを詳しく解説します。

変動費:販売数に比例して増減する費用
固定費:販売数の増減に関わりなく常に一定に発生する費用

コストを下げるアイデアについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

固定費と変動費について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

変動費の削減

変動費は、販売数に比例して増減する費用です。変動費は販売数が2倍になれば2倍になり、半分になれば半分になります。具体的には、商品を製造する際の原材料費、商品を仕入れるときの商品仕入原価、消耗品費、販売手数料などです。

変動費削減アイデア

変動費を削減するアイデアを以下の3つご紹介します。

  • 一個当たりの仕入れ価格や材料費の引き下げ
    大量仕入れや現金仕入れを行ったり、仕入れ先と価格交渉を行い、仕入れ単価を下げましょう。
  • 在庫ロスを防ぐ
    食品の場合、廃棄にもコストがかかるため、過去の販売量と比較して適正な在庫量を見極めましょう。また、不良在庫を一掃し常に一定量を保てるよう工夫しましょう。
  • 内製化の検討
    一般的に外注費はコスト高で、利益率を下げます。内製化に必要な人員や設備投資をすることで、長期的にはコスト削減につながる可能性が高いので検討しましょう。

固定費の削減

固定費は販売数の増減に関わりなく常に一定に発生する費用です。具体的には、人件費、家賃、水光熱費、広告宣伝費、保険料、リース料、減価償却費などです。固定費は本来変動が無い費用のため、増加した科目は増加の要因に妥当性があるか確認します。広告宣伝費が増えている場合は費用対効果の算出、人件費が増えている場合は生産性が向上しているか、将来性はあるかを評価しましょう。

固定費削減アイデア

固定費を削減するアイデアを以下の5つご紹介します。

  • 家賃の削減
    業種にもよりますが、家賃は売上の10%が限度と言われています。それ以上に支払っている場合は、家賃のわりに利益の出ない物件と判断し、価格交渉や、移転を視野に入れる必要があります。特に飲食店は場所が経営を大きく左右します。また、オフィスの場合はテレワークを活用し規模縮小や郊外への移転を検討しましょう。
  • デジタル技術を活用した人件費の削減
    コンビニやスーパー等で利用されている無人レジの導入や、会計ソフトを入れて業務を効率化したりなど、人が手作業で行わなくても良い仕事はデジタル技術を活用しましょう。
  • 水道光熱費や通信料の削減
    利用量に対して適切なサービスを契約しているのか、必要のないランクの高いサービスで契約していないか再確認しましょう。
  • 保険料の削減
    必要な保障を確認しつつ、保障額が過大ではないか、不要な特約が付加されていないかを確認しましょう。
  • リース料の削減
    リースはすぐに削減できませんが、次回のリース契約時に必要のない機能や、オーバースペックなどを確認しましょう。また、リース満了前の新たなリース契約については目先の金額だけではなく、残債の精算内容なども確認しましょう。

まとめ

収益改善は売上を上げるか、コストを削減するか、あるいは両方の対策を実行する必要があります。大切なことは、まずはやってみるということです。初めてのことは、従業員からの抵抗があるかもしれませんが、やってみなければ何も始まりません。仮に成果がなかったとしても、「成果がない」という結果は得られます。また、赤字になってからでは金融機関から希望通りの融資が受けられず、キャッシュフローを悪化させてしまう可能性もあり、それによって打つ手の選択肢が狭まってしまいます。
利益を上げている企業は、変化を恐れていません。収益構造に悩みがある経営者の皆さんはまずは行動してみることをお勧めします。

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