税務調査が入りやすい時期はいつ?対象期間や調査にかかる時間などを徹底解説
確定申告や決算などの作成・申請が終わり、ひと息ついた頃に訪れる税務調査。
調査と聞くとあまり良いイメージはありませんが、税務調査はランダムに行われる調査のひとつです。
そのため誰もが税務調査の対象になる可能性があるので「時期はいつなのか」「対象期間は?」「調査時間はどのくらい?」など知っておきたいところかと思います。
そこで今回は税務調査が行われる時期をはじめ、対象期間や調査にかかる時間など税務調査について詳しく解説します。
冷静に対応するためにもしっかり覚えておきましょう。
税務調査の時期はいつ?
税務調査とは「申請された申告書の内容が正しいか」の判断を行うための調査です。
誰もが正確に申告や納付をすれば税務調査を実施する必要がありませんが、中には記入漏れやミス、意図的に不正をする方もいます。
それらを判断するとともに、内容の精査を行う目的を税務調査では担っているのです。
税務調査は会社の規模が大きい、小さいにも関わらず会社経営しているなら、誰もが調査の対象になる機会があります。
そんな税務調査の時期はいつなのか下記で詳しく説明していきます。
決算時期によって変わる
個人事業主の税務調査は決算時期によって変わりますが、1番行われる時期をあげるとしたら7〜11月になります。
また国税局や税務署の人事異動が影響していることもあり、その時期に集中的に税務調査されています。
逆に避ける時期は税理士も税務署も繁忙期となる、確定申告の時期の2〜3月です。
緊急を要することがない限り、この時期に実施されることはほとんどありません。
法人の場合は決算時期が上半期か下半期かによって時期が変わります。そのため下記のように覚えておきましょう。
● 決算期が上半期の場合:7〜12月に調査する確率が高い
● 決算期が下半期の場合:翌年2〜6月に調査する確率が高い
目安として、決算時期から3〜4ヶ月に税務調査の通知が来なければ、その年度に税務調査が入ることはほぼないでしょう。
法人の場合は3期目以降に税務調査が入る
税務調査は1期目から入られるわけではありません。
法人の場合、2年間は消費税が免除になるので、3年目(3期目)から税務調査が入る可能性があります。
慌てないためにも設立当初から細かく資料をまとめておくと良いでしょう。
とはいえ、5年1回に調査が行われたり、設立後1回も調査されていなかったりと様々です。
調査が入りやすい会社の特徴は主に下記となります。
- 売上の変動が大きい
- 利益率が異常に低すぎる
- 売上は右肩上がりなのにもかかわらず利益が少ない
企業努力が実り、売上が上がることは十分あり得る話です。
しかし、不正に売上を上げている可能性も考えられるため、調査の対象になりやすくなります。
利益率が異常に低いと判断するのは、同じ規模の同じ業種の法人と比較したときです。
同じもので比較した際、似たような利益率になることが多い中、1社だけ利益が低いと怪しまれるのは不思議なことではありません。
また売上があるにもかかわらず利益が少ないことも調査の対象となりやすいです。
売上が増える=利益が増えると考えることはごく普通のことでしょう。
それにもかかわらず、利益が少ないと調査の対象になりやすくなります。
税務調査の対象期間はケースバイケース
税務調査の対象となる期間は過去3年間がほとんどです。
しかし、状況によっては対象期間が長くなるケースもあります。
記入漏れやミス、誤った内容を申告、帳簿書類に問題が生じた場合は過去5年間になるケースも。
また脱税など悪質な申告だと判断された場合は最長7年間になります。
自分たちで決算報告書や確定申告の作成をすると、税理士に払う費用を節約することはできますが、時間を割く上に小さなミスが大きな事態に繋がる恐れもあります。
そのため正確に書類を作成してくれる税理士に依頼することをおすすめします。
税務調査にかかる時間は約2日間
会社の規模や売上など様々な事情により調査にかかる期間は異なるものの、中小の法人企業であれば2〜3日間で調査は終わります。
あくまでこちらは目安であり、法的に定められたものではありません。
事前に告知があり日時を決めてから税務調査に入ることが一般的で、調査時間は1時間のお昼休憩を含む朝10時〜夕方4時頃までです。
調査終了後、その場で内容の指摘などされますが、指摘の内容によっては顧問税理士と議論する場合も。
その場合、資料の証拠集めなどが増えるため調査日数はさらに増えることがあります。
そんな税務調査には主に「任意調査」と「強制調査」があります。
それぞれの調査内容を詳しく解説していきます。
任意調査
多くの税務調査は税務署職員が実施する任意調査に該当します。
調査を行う際は事前に電話で通知があり、現地へ職員が出向き、2〜3日かけて帳簿などをチェックします。
任意と付いてはいるものの受忍義務があるため、調査自体を拒否したり帳簿などを見せなかったりすると罰則に当たるので注意してください。
顧問税理士の有無によって流れは多少異なるものの、任意調査の流れは大まか一緒なので簡単に説明します。
- 税務署より事前に通知
- 調査実施の日程調整
- 調査までに必要な書類を揃える
- 任意調査当日
- 調査により指摘を受けた箇所の回答
- 調査の結果
必要な書類や指摘の回答は税務のプロである税理士に一任すると良いです。
しっかりと準備してくれるため安心して調査を受けることができます。
帳簿を意図的に改ざんや修正をしていて法に触れてしまった場合は、事前連絡なしに調査が行われることもあります。
強制調査
強制調査は税務署職員ではなく、国税局査察部がする調査です。
こちらは裁判所より令状を発行し調査が実施されます。
強制なので事前連絡はなく、拒否することもできません。
強制調査は犯罪の捜査を目的としているため、脱税などの悪質な行為があったとみなされた場合に行われます。
税務調査で必要になる書類
任意調査の税務調査では、帳簿をはじめ帳簿作成に伴う資料などを確認します。
そのため、調査に必要な書類を調査実施日までに揃えなければなりません。
調査に必要な主な書類は下記になります。
- 帳簿
- 帳簿作成の元になった資料
- 決算関係の資料
- 人件費にかかわる資料
- その他(見積書はなくても良い)
これらは保存を義務付けられている書類になります。
どの書類が必要かは税務署から指示がありますが、直近3~5年の書類を用意するようにしましょう。
しかし、自分たちで用意するのは時間がかかる上に内容によってはわからないこともあるでしょう。
そのため顧問税理士がいる場合は税理士に任せると良いです。
もし顧問税理士がいない場合はスポット契約をして、調査時期だけ仕事依頼をするのもひとつの手です。
しかし、スポットの契約では会社全体の税務を把握することが難しいため、無駄な手間がかかることもあります。
常に顧問税理士と契約しておくのが無難といえるでしょう。
帳簿書類の保存期間は2種類
確定申告や決算報告のために使用した帳簿書類ですが、書類を申請したからといって終わりではありません。
前述でも説明しましたが、書類にはある程度の保存期間が義務付けられています。
書類の保存期間は大きくわけて「7年間保存」と「5年間保存」の2種類です。
しかし、法律により保存期間が異なることもあるため、10年間は保存しておくと安心でしょう。
7年間保存が必要な書類
それぞれの書類で7年間保存が義務付けられている書類は下記になります。
帳簿 | 現金出納帳、総勘定元帳、売掛金元帳、買掛金元帳、売上帳、仕入帳 |
決算に関する書類 | 損益計算書、棚卸表、貸借対照表 |
現金預金等に関する書類 | 預金通帳、信用証、小切手控 |
預金通帳や信用証、小切手は枚数が多くなりやすくバラバラになりやすいため、時系列にまとめておくと税務調査に入られたときにスムーズです。
もし会社に欠損金がある場合は9年分の書類が必要になるので保管に注意しましょう。
5年間保存が必要な書類
5年間保存が必要な書類は、契約書・請求書・納品書・領収書・送り状です。
これらは頻繁に作成することが多く、枚数が多くなりやすいので管理するのに注意が必要になります。
こちらに関しても、フォルダーごとに分けるなど工夫しておくと良いでしょう。
なお、こちらに関しても欠損金のある赤字経営の企業は保存期間が異なり、すべての書類の保存期間が9年間になります。
経営状況によって保存期間は異なるものの、状況によって保存期間を変更するのは大変なので、前述のとおり一律で10年間保存しておくと慌てることがありません。
ちなみに欠損金がある場合、繰越控除の対象となり所得金額を減らせるので会社にとって大きな節税対策になります。
そのため欠損金が出てしまった場合は繰越控除を利用し、賢く節税を行いましょう。わからないことがあれば、顧問税理士にアドバイスをもらうと良いです。
まとめ:税務調査の時期を抑えて対策しよう!
税務調査と聞くと不安を覚える経営者の方が多いでしょう。
しかし、経営している以上、税務調査の対象となり得る可能性は十分あります。
「うちは小さいから調査対象にはならない」と思うことなく、いつ調査が入ってもすぐ対応できるように準備しておきましょう。
そしてミスの許されない税務関係だからこそ、税務のプロである税理士に入ってもらい的確なアドバイスをもらうことが重要です。
正確な書類を作成してくれるだけでなく、調査に対する指摘にもしっかり回答してくれるため心強い存在となります。
そのためにも、まずは信頼できる税理士を見つけることが大切です。
当社では税務関係の業務代行はもちろん、会社経営のアドバイスまで行っております。
無料相談を随時実施しておりますので、気軽にお問い合わせください。