税務調査後の修正申告とは?手続き内容や税理士の関与の仕方などを徹底解説!
税務調査で申告内容に誤りがあることが判明すると、修正申告をする必要があります。
しかし、修正申告の知識や経験がないと、どんな処理が必要かが判断できず、その後の手続きが難航してしまいます。
ここでは、修正申告の基礎的な知識や、確定申告を終えた後に修正が必要になった場合はどういった税金が発生するのか、その対処法について説明していきます。
修正申告とは
まず、税務調査が入った場合の修正申告に関する概要を見ていきましょう。
修正申告とは、少ない税額を申告していた事実が確定申告の後に判明した場合、正確な税額に修正するために行う手続きのことを指します。
税務調査の結果を受け修正申告をするパターンの他、税務調査とは関係なく、納税者自身が自ら変更すべき箇所を発見し、修正申告をするケースも少なくありません。
ここで気をつけておかねばならない点は、税務調査が入ってから修正申告を行うと、追加で税金を支払わなければならないということです。
なお、事前通知に基づき、税務調査が行われる前にも修正申告を行えます。
事前通知とは、税務調査が会社を訪れることを事前に知らせることです。
修正申告を行うためにどうすればよいか、その詳細を詳しく説明していきます。
「申告是認」と「修正申告」の相違点
税務調査を受けた際に、調査項目に誤りがないことを是認(申告是認)と呼びます。
修正申告は、税務調査が正常に終了し、その後税務調査で指摘された事項を「修正」するよう納税者に通知し、通知を受けた納税者がその義務を負うことをいいます。
ただし、それを拒否するか受け入れるかは受け手次第であり、この時点での判断が今後の手続きに大きな違いをもたらすことになります。
「修正申告」と「更正処分」の違い
更正処分(こうせいしょぶん)とは、納税者が修正申告に応じなかった際に、税務署が納税額を決定する手続きのことです。
日本の納税制度は、納税者の申告によって税額が決まる「申告納税制度」ですが、更正がある時は税務署長の権限によって税額が決定されます。
しかし、納税者がどうしても納得できない内容である時には、国税不服審判所に申し立て、審査請求も可能となっています。
一般的な税務調査の流れ
まず、一般的な税務調査の流れを見てみましょう。
税務署から事前連絡がある
税務調査のほとんどは、事前に税務署が会社等に連絡し、税務調査のために訪問することを知らせてから行います。
この連絡を税務調査の「事前通知」といい、調査日時や期間などの情報を口頭で説明します。
いつ頃事前通知がされるかについては明確な指針がないため、ケースバイケースで判断されますが、一般的な指針としては以下のようになることが多いです。
事前通知:調査日の2週間程度前
時期 :税務署の繁忙期や職員の異動時期を避けた時期(夏~秋にかけてが多い)
調査期間:2日前後
時間 :おおよそ10時頃から16時~17時頃まで(1時間の昼休憩を挟む)
出張などで外出している場合や、業務が立て込んでおり税務調査の当日に時間を取ることが難しい場合は、事前に日程の調整を申し出ることも可能です。
税務調査の目的は、申告内容が正しいか、修正が必要か、納税について誤解がないかといった内容を確認し、誤りがあればそれを指摘した上で、修正を提案することです。
そのため事業形態や法人・個人にかかわらず、税務調査が入る可能性があることを留意しておきましょう。
税務調査のために準備すべきこと
税務調査に備えて、以下の書類を準備しておくとよいでしょう。
- 過去7年間の税務申告書および決算書
- 会計ソフトのデータ
- 請求書、領収書
- 雇用に関する書類
- 銀行の貯金通帳
- 会社案内書類
決算書、各種台帳の他、契約書や在庫チェックリストなど、事業に関わるすべての書類を提出できるよう準備しておきましょう。
一般的には過去3年分の調査が行われますが、場合によっては5〜7年遡って調査されることもあります。
そのため、過去7年分の帳簿書類を、いつでも閲覧できるように用意しておくことが望ましいです。
事前通知に基づき行われる任意調査、テレビで紹介されているような物騒な雰囲気ではなく、平和的に調査が進む場合がほとんどですので、過剰に恐れる必要はありません。
帳簿やデータへのアクセスは、本人の同意がなければ許可されず、調査が実施される前に本人の同意が求められます。
基本的には「質問調査権」であり、書類を持ち帰ったり預かったりするためには同意が必要です。法的にはそれらのコピーの提出義務もありません。
修正申告の手続きについて(税務調査後)
税務調査が必ずしも修正申告に繋がるわけではありません。
記事の冒頭でも記した通り、税務調査の結果は、主に次の2つです。
修正申告になった場合
税務調査で内容に不備や誤りが発見された後、納税者自身が確定申告書を訂正します。
税務調査官の指摘に納得できず、納税者が修正申告をしなかった場合は、税務署が申告内容の誤りを訂正することになります。
更正処分になった場合
大半のケースは、税務調査で見つかった誤りを認め、納税者が修正申告を行うことで、税務調査は終了となります。
ですが、指摘があった点のいくつかに納税者が納得できないケースもあり得ます。
この場合、納税者が修正申告をせず、意見を主張することも可能です。
その時は税務署が「更正処分」を行い、税額を確定します。
最終的に申し立てが認められなかった場合、延滞税や高額加算税などの追加納税が必要になりますので、注意しておきましょう。
修正申告後に必要な手続き
修正申告では、間違いのあった箇所のみを訂正すれば問題ありません。
ただし、過去に遡って修正すると、所得金額や税額が変わるため注意が必要です。
追徴とは
追徴とは、確定申告で申告した税額と、修正申告(または更正処分)で計算した税額との差額を徴収することを指します。
場合によっては、追徴課税のほか、過少申告加算税、無申告加算税、延滞税が課されることがあります。
課税される税金は、原則として、通常であればすでに支払われている税金であるため、現金で一括して支払わなければならず、納税者の負担はより大きくなります。
加算税制度によるペナルティ
続いて加算税制度におけるペナルティをご紹介します。
未納税金に対する加算税
加算税率は、新たに納めることになった税金に対して10%収める必要があります。
ただし、新たに納付すべき税額が、当初の申告額または50万円のいずれかの多い額を超える場合には、その超える部分の金額に対する税率は15%となります。
未申告の場合の加算税
正当な理由なく期限内に確定申告を行わなかった場合に、一般的に納付すべき税額に対して課されるものです。
50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の税率で計算されます。
不払いの場合の追加税額
正当な理由なく法定納期限までに源泉徴収税額を納付しない場合に、源泉徴収税額算定の基礎となる税額に対して10%の税率で課されます。
ただし、納税者が支払督促を予期せず、督促を受ける前に支払を行った場合は、税率が5%に軽減されます。
(参照元:国税庁「源泉徴収税不納付の場合の取扱いについて(事務取扱要領)」)
国税の納税猶予制度に関して
国税の納税猶予制度とは、期限内に納税することが困難な場合に、税務署長の承認を得て、期限後に納税できる制度です。
猶予が認められた場合、分割納付も可能であり、一定の条件を満たせば、猶予期間中(原則1年間)の延滞税が減額されます。
(参照元:国税庁「納税の猶予に関する国の制度について~FAQ 2020年4月~」」)
修正申告の際に顧問税理士がいるメリット
税務調査の対象となった場合、顧問税理士がいることにより、手続きをスムーズに進められ事業所側の負担を大きく削減することができます。
また、税務調査で何かしらの問題が発見された場合、顧問税理士の有無が調査結果に影響を与える可能性が高いため、不安な方は税理士への相談をおすすめします。
納税者自身で修正申告の別表を作成することは難しいため、修正申告を求められた際には税理士に頼るべきでしょう。
急な事態に対応するためにも、前もって顧問税理士と契約を結んでおくことをおすすめします。
普通に考えて、納税者自身で修正申告の別表を作成できないと思う。
税務調査前に準備ができる
税務調査では、さまざまな質問をされます。
書類も詳しく調べられ、時には自分の素性まで問われることもあります。
事前に税理士のアドバイスを受けておけば、どのような質問をされ、どのように対応すれば良いかがわかるので、安心して税務調査を受けることができるのです。
社内に会計や税務に詳しい人がいなくても、顧問税理士がいれば状況を把握することができます。
様々な指摘があっても、それを受け入れるか反論するかを適切に判断できます。
税務調査において本人の言い分を提示してくれる
顧問税理士がいる場合は、税務署から理不尽な指摘を受けたら毅然とした態度で臨むよう指示することができます。
税務調査は、誰にとっても少なからず不安なものです。
税金について何も知らなければ、不安はさらに大きくなります。
そんな時に顧問税理士がいれば、この不安を払拭し、一緒に税務調査に臨むことができるのです。
また調査当日には拘束され、調査後もいろいろな連絡がきて対応に追われます。税務調査の際には多くの時間を割くことになるため、通常業務に支障をきたすことになります。
通常の業務をスムーズに進めるためにも、顧問税理士と契約しておくことを強くおすすめします。
修正申告をするかしないかは本人が決めることができる
納税者は、否認された項目に納得がいかない場合、修正申告をしないという選択をすることができます。顧問税理士がいれば、修正申告をすべきかどうか、正しい判断ができるのです。
後から追徴課税が払えない額だとわかっても、すでに手遅れです。取り返しのつかない事態を避けるためにも、ぜひ顧問税理士をつけておくことをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、修正申告の重要性、更正処分と修正申告の違い、税務調査後の対応について解説してきました。
税務調査では、税法の規定に関する情報だけでなく、調査後に何ができるかなど、幅広い知識と経験が要求されます。
税務調査に詳しい税理士に依頼した上で、必要な知識と経験を習得し、税務調査に対応していきましょう。まずは下記より無料相談にお申し込みください。