相続税に詳しい税理士の探し方│失敗しないためのコツとは?

「事前通知のある税務調査」と「無予告の税務調査」

相続税の手続きは専門知識が必要であったり、複雑な手続きが必要な場合が多く、税理士に依頼したいと考える方も多いのではないでしょうか。

その際、問題となるのが税理士に支払う報酬です。

あまりに手数料が高いと、申告手続きを税理士に依頼することに抵抗がある方もいらっしゃると思います。

また、信頼できる税理士を選ぶにも曖昧な点があるかもしれません。

そこでこの記事では、税理士報酬の相場と、税理士を選ぶ際のポイントを紹介します。

税理士選びが重要な相続税について

税理士選びが重要な相続税について

相続が発生したからといって、必ずしも税理士に依頼する必要があるわけではありません。

次のような場合は、原則として顧問税理士に相談します。

争点がなくすでに協議されている相続

税理士が相続に関連して行う手続きには、相続税額のシミュレーションや、遺産分割に基づく相続税申告などがあります。

遺産分割がまとまらない、いわゆる「争族」事件への介入は、弁護士法では「非弁活動」として禁止されています。

また、特定の相続人の味方をすることも、税理士法では禁止されています。

以上の点から、原則として税理士に相談するのは、適正な相続の清算が見込める場合に限ります。

「遺産総額>基礎控除額」の場合

遺産総額(が基礎控除額以下であれば、相続税はゼロとなり、相続税の申告義務もありません。

一般的に、相続財産の総額が基礎控除額を超え、相続税の申告義務がある場合は、税理士に相談する必要があります。

小規模宅地等の特例措置や、配偶者特別控除を適用する場合

「小規模宅地等の特例」や「配偶者特別控除」の適用を受ける場合、納税額がゼロでも相続税の申告が必要です。

小規模宅地等の特例とは、故人が住んでいた土地や貸していた土地について、条件を満たす人が相続した際に、最大80%の減税評価減を受けられる制度です。

また、配偶者の所得相続金額に応じて、一定金額の所得控除税額控除が受けられる場合があり、これを配偶者特別控除といいます。

相続税の申告は、これらの特例や控除が適用される場合に、税理士に依頼することが多いです。

専門的な見解が必要な場合

遺産総額が基礎控除額以下であれば相続税の申告義務はありませんが、最初から相続財産の総額の計算が煩雑になるケースもあります。

例えば、相続財産に土地や自社株も含まれている場合、専門的な知識がなければその価値を算出することは困難です。

確定申告の義務の有無を判断するために、税理士に依頼するケースもあります。

相続発生時だけでなく、生前からシミュレーションを行うケースも少なくありません。

相続税について税理士に依頼するメリット

相続税について税理士に依頼するメリット

税理士に相続税にまつわることを依頼するメリットは、以下のように考えられています。

費やす時間と労力を削減する

自分で相続税の申告をする場合は、税金の計算方法を理解し、申告書の作成方法を調べる必要があります。

仕事や家事などで忙しいと、なかなか時間が取れないものです。

そのような場合、税理士に依頼することで、労力と時間を大幅に削減することができます。

合理的な方法で節税ができる

相続税の申告時に、特別控除の適用を見落とすと、納税額が大幅に増えるリスクがあります。

また、どの相続人が財産を引き継ぐかによって、特例が適用される場合もあります。

専門知識がなければ、これらの条件を正確に判断して適用することは容易ではありません。

税理士が申告手続きを行えば、適用される特例や控除について適切な提案をすることができ、過大な相続税負担を避けることができます。

申告ミスの防止

手続きが複雑であればあるほど、税理士に依頼することで申告のミスや漏れを防ぐことができます。

相続税の申告を済ませた後に、税務調査が入ることも少なくありません。

納税者自身が税務調査官に対応するのは容易ではないので、税理士に相談することをおすすめします。

すでに確定申告を終えている税理士が担当すれば、スムーズに手続きを行うことができます。

二次相続等に関するアドバイスも可能

将来発生する可能性のある二次相続を考慮せず、相続税を減らすことばかりに気を取られ、納税総額が増えるケースも少なくありません。

税理士に相談することで、今回の相続だけでなく、将来の二次相続についても最適なプランを設計することができます。

信頼できる税理士を選ぶために重要なポイント

信頼できる税理士を選ぶために重要なポイント

税理士の業務範囲は広く、様々な専門分野が含まれます。

税理士はすべての専門分野をカバーできるはずと考える人が多いようですが、それは医師免許を持った人が、すべての種類の病気を治療できるというのと同じことです。

税理士にも得意・不得意な分野があることを知っておくことが大切です。

一言に税理士といっても、相続税を専門とする人と、そうでない人がいます。

相続税の手続きを申請するとなると、多くの人がインターネットを通じて、信頼できる税理士事務所を探そうとするのではないでしょうか。

その際、確認すべきことは、次のようなことです。

  • 相続税申告の実績があること
  • 税理士報酬を公開している
  • 税務調査に精通している

相続税申告の実績があること

相続税に特化している事務所は多いとは言いきれないのが現状です。

なぜなら、税理士事務所の多くが、会社の決算や記帳を扱っており、相続税を扱うことはほとんどないからです。

相続税の知識が乏しい税理士に対応を依頼すると、本来なら大幅に節税できるところを正確に対応してもらえず、多額の相続税を支払うことになってしまう可能性があります。

そのことを踏まえると、相続税の対応経験が多く、知識が豊富な税理士に依頼をする方が安心と言えるでしょう。

相続税に特化した税理士を選ぶ際に重要なポイントとなるのは、「多くの申告をした実績がある」という点です。

報酬の開示

税理士報酬を伏せている税理士事務所も存在します。

その理由として挙げられるのは、

  • 高額な報酬であるため、報酬を公開している他の税理士事務所と比べられた場合、依頼件数が減る
  • 追加料金の設定があり、報酬の明示が不可能

といった点です。

申告手続き完了後、当初は聞いていなかった莫大な額の追加料金を請求され、トラブルになるケースも少なくありません。

税務調査に精通している

相続税の手続きは、必ずしも確定申告だけで終わるわけではありません。

また、申告後に税務署が税務調査を行うケースもあります。

税務調査では、記入漏れや数字の間違いがないかどうかを調べます。

誤りが見つかると、税金の払い戻しを要求されることがあります。

上記を踏まえると、やはり税務調査に精通している税理士事務所に依頼するのが安心です。

相続税の申告を税理士に頼まず自分でできる?

相続税の申告を税理士に頼まず自分でできる?

相続が発生した人の中には、税理士には依頼せず、自分で相続税の申告をしたいと考える人もいるでしょう。

自分で手続きを済ませることができれば、税理士に支払う費用分を節約することができます。

原則として、相続税の申告は自分で行うことは不可能ではありません。

申告は税務署に対応してもらえますし、参考書も多数あります。

また、インターネット上の情報もあります。

ですが、それなりの時間と労力が必要になることは覚悟しておきましょう。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月間です。

10ヶ月は長いようで短い期間ですので、あっという間に期日になっていることも多いです。

とくに身内がなくなった際には、葬儀や行政手続きで疲弊してしまうことが考えられます。

親族を失った悲しみもあり、申告どころの心理状況ではなくなっていまうケースも多くあります。

大変な状況だからこそ、税理士に依頼して少しでも負担を軽減するべきでしょう。

また、期限を過ぎるとペナルティを受けることになりますし、期限の直前で税理士に依頼すると、通常料金にプラスで追加料金を請求されてしまい、結果的にマイナスになってしまいます。

税理士に相続税手続きを依頼するべきケース

自分で相続税申告を行うよりも、税理士に依頼した方が良いケースとして、以下のようなものがあります。

評価しにくい資産がある

例えば、非上場株式や特殊な形状の土地は遺産とみなされます。

どちらも評価が難しく、専門家の力を借りる必要があります。

また、不動産の専門家に評価を依頼する必要があるケースもあります。

さらに、このような土地は、特別な規定の適用により、税制上の優遇措置が受けられる場合があります。

相続財産に土地が含まれている場合、自身で手続きをするのは困難であるため、税理士に依頼した方が良いです。

第三者を交えて議論した方が良いケース

相続人が複数人の場合は、相続人全員の連名で申告します。

この段階では、相続人全員による話し合いによって申告手続きが行われるのですが、意見の相違によって、感情的なこじれが生じる可能性は否めません。

このようなケースは、専門の税理士に委託した方が手続きがスムーズになるでしょう。

税理士に依頼するタイミング

税理士に依頼するタイミング

税理士へ相続税の手続きを依頼するのであれば、できるだけ早いタイミングで依頼してください。上述の通り、相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月間です。

どうしても申告期限直前まで申請できない場合は、極力早い段階で概算申告書を提出してください。

その場合、後になってから修正申告をすることもできますが、余計な手間がかかってしまうため、可能な限り早く税理士へ相談しましょう。

まとめ

まとめ

今回の記事では、相続税に詳しい税理士の選び方について解説しました。

相続税の申告を自分で行うことは可能なのかという疑問への結論としては、「可能ではあるが、税理士に依頼した方が節税や作業負担の面で有利であり、税務調査のリスクも軽減される」ということです。

相続税に関してお悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。初期相談は無料で対応いたします。