税務調査への対策は?連絡を受けた場合はどうする?

税務調査への対策は?連絡を受けた場合はどうする?

税務調査とは、「納税者が税法に則って正しく納税しているかどうか調査すること」を言います。

税務調査という言葉は知っていても、実際にどんな調査が実施されるのかをご存じない方も多くいらっしゃると思います。

また、調査される理由を聞き、不安な気持ちになる人もいます。

ですが、税務調査とは何かをしっかり理解し、事前準備をし、対処法を知っていれば、決して怖い手続きではないのです。

この記事では、税務調査の目的、実施方法、対応方法を説明していきます。

税務調査の対策

税務調査の対策

企業や事業を営む方、税務調査を相続した方は、どんな流れで税務調査を受けるよう依頼されるのでしょうか。

まず、事前通知の手段と、通知を受けた場合の対処法を見ていきましょう。

事前通知

税務調査は、不正の疑いなど一部のケースを除き、通常、税務署(または国税庁)から事前に調査を行う旨の通知があり、特定の期日に実施されます。

事前通知の方法は特に決まっておらず、税務署員が企業などに電話をかけ、口頭で知らせるケースが多いです。

ただ、調査はケースバイケースなので、時期はまちまちですが、確定申告や年次決算、事業の変化などの時期を避け、秋に行うのが一般的と言えます。

事前通知時に調査の場所と日時を伝え、通常通知後2~3週間後に実施されます。

業務が多忙な時期などの理由により調査実施が困難な場合は、日程の延期を依頼することができます。

【顧問税理士がいる】

顧問税理士の委任状(顧問税理士が税務署に提出する書類)に納税者の同意が記載されていると、税務調査の事前通知は個人・法人ではなく顧問税理士に行われます。

【個人向けの相続税】

事業の経営をしていない個人の方でも、多額の相続が発生し、相続税の申告が必要なケースは、税務調査の対象になることがあります。

調査の時期は申告から1~2年後が多く(申告期限は相続を知った日の翌日から10カ月)、時効は申告から5年後になります。

仮決定を受けた後の準備と反応

企業や個人という点は関係なく、一般的には過去の確定申告に対する税務調査の影響を受けることになります。

法律で定められてはいませんが、通常、税務署からの事前通知により、税目や調査期間などが通知されることになります。

7年以内の書類を用意しておくことが望ましいです。

これは、帳簿や記録を保存する法的な期限であるためです。

税務調査時に対策するべきこと

税務調査時に対策するべきこと

国税庁によりますと、2017年に企業に対して実施された税務調査の件数は約9万8000件だそうです。

法人税だけでも毎年かなりの納税者がおり、税務署員は1回の調査ごとに長時間使うことが難しいです。

ですので、税務調査は平均して1~3日以内で完了します。

この短期間に、過去の記録の調査、会社の経営者や担当者への口頭での質問や確認、必要と判断された場合は重要書類や印鑑などの所在確認が行われることになります。

そこで異常が見つかると、税務調査官は当日もしくは後日、会社等に連絡をします。

調査官の調査能力にもよりますが、大企業や非協力的な企業、悪質な不正行為の疑いがある企業を担当するのは国税庁の調査官が多いため、調査スキルは高いと言えるでしょう。

しかし、前述した通り、その成果は個々の監査人の技量に左右されます。

したがって、税務調査の対象となった場合でも、躊躇する必要はありません。

以下、税務調査時に気を付けたいポイントや注意点を説明していきます。

質問内容は一般的なものから始まる

税務調査では、ビジネスの性質とは直接関係のない話まで聞かれることがあります。

例えば、管理報酬を受け取っている代理人の親族はどんな過ごし方をしているか、代理人が最近財産を取得しているかどうかなどです。

雑談のような流れで質問してきますが、調査官はその受け答えに不審な点はないか、代表者など相手がどのような人物かを確認しており、単に世間話をしに来たわけではありません。

質問の揚げ足を取られないよう、不審に思われる回答は避け、余計な情報を与えないように気を付けましょう。

信頼できる税理士を味方につける

税理士が同席していなくても、税務調査を受けることはできます。

事前に顧問税理士と準備ができていれば、社内または個人で監査を実施することも可能です。

不安を抱えている方は、ビジネス内容やその他の事情に精通しており、調査官の指摘に対応できる顧問税理士の同席を依頼する方がよいでしょう。

保留にしたくない書類はコピーを取っておく

調査官は事前に簡易調査を行い、現地調査での確認事項を把握した上で訪問します。

最低限必要な書類は準備しておく必要がありますが、指示された書類のみを担当者に渡しても特段大きな問題にはなりません。

調査官は必要書類をコピーして持ち帰ることが許可されているため、状況によっては税理士に相談の上、書類を渡してください。←原本はもって帰らない。

曖昧な回答は避け、後日回答する

調査官に質問されると、無理にでも答えようとしてしまいがちですが、事実が明確に答えられない時には即答しなくても構いません。

例えば、ある晩餐会に誰が出席していたか、雑収入の内容の詳細は何か、請求書の日付と帳簿上の日付が異なる理由は何か(例:訂正があり、訂正分の請求書をまだ受け取っていない)、といった内容が挙げられます。

すでに対策済みで明確に回答できるものであれば問題ないですが、不明な点を指摘される場合もありますので、後日改めて回答することも可能とされています。

税務調査対策において抑えておくべきお金の動き

税務調査対策において抑えておくべきお金の動き

税務署は実際にどういった情報をどの程度監査しているでしょうか。

税務調査で具体的に指摘される可能性が高い一例は以下のようなケースです。

売上高および損益計上のタイミング

必ず監査される内容のひとつが、事業の利益率です。

税務署は、売上高に応じて所得が増加するのが普通だと考えています。

つまり、利益率(利益÷売上高)が毎年低下し続けている会社は、利益を減らして脱税していると疑われるのです。

もうひとつのポイントは、売上高の計上時期です。

これは、売上を計上する時期によって税額が大きく異なるからと言えます。

所得税や法人税を計算する際、特に所得金額は納めるべき税金の額を決定的に左右します。

利益は、基本的に会計期間の収入から費用を差し引いたものです。←収入から費用を差し引いたもの。

売上が当年度に発生するのか、それとも翌年度に発生するのかで税額が変わってきます。

このように、税務署は、納税者が当年度の売上として計上すべき箇所を、翌年度の売上として計上し、納税を免れるために意図的な改ざんをしていないかという観点から、税務調査を行うのです。

中には、当期の売上を減らすために、売上を計上すべき時期を意図的に先延ばしにしている企業もありますが、単純な事務処理上のミスや誤解による場合もありますので、よく確認することが大切です。

交際費

顧客や取引先への食事や接待に要した支出は、交際費等に該当します。

ただ、これは顧客や取引先に対し接待を行う場合のみ適用されるもので、役員や従業員に対して接待を行う場合は適用外となります。

全体的に微妙に間違ってると思う。

中小企業の場合、交際費が800万円を超えた場合、納税額が増加します。←中小企業なら交際費800万円を超えたら。

会社の事業活動には無関係の費用が、交際費として計上され、税務上損金に算入されるケースを、税務署は厳しくチェックしています。

税務署は、総勘定元帳に交際費に該当する経費を記載し、請求書や領収書を調べることで、従業員数が操作されていないかどうかを確認するため、正確な申請をするよう心がけましょう。

棚卸資産の計上漏れ

棚卸資産は、会計期間末にまだ存在している製品、商品、材料などを勘定科目として計上する必要があります。

つまり、棚卸資産を計上することは、税負担が増えることを意味しているのです。

その理由により、税務署は「期末の棚卸が適切に行われているか、棚卸の記録が適切に行われているか」をチェックしています。

架空人件費の存在

アルバイトに給料を払っているように見せかけて、実際には雇用しておらず、その分を損金に算入するケースは、昔から多い脱税方法でした。

税務署は、その人が実際に存在するのか、実際に働いているのか、金額は妥当なのか、タイムカードや居住地に至るまで、細部にわたってチェックします。

調査官は、給与明細、源泉徴収票、組織図、配布計画書、従業員名簿、タイムカードなどを使って調査します。

外注費

外注費とは、外部の委託業者を利用する際に発生する費用のことです。

これらの外注費は、給与として承認される場合があります。

しかし、外注費として認識されるためには、書面による契約の有無だけでなく、元本や支払額が一定額であるかどうかなどの基準を考慮し、総合的に判断されます。

外注費ではなく、給与であることが判明した場合、源泉徴収税や消費税など、多くの追徴課税が発生しますので、注意が必要です。

関連会社との取引

関連会社との取引は、価格操作が比較的容易であるため、所得操作の対象となりやすい項目の一つです。

調査官は、実際に発注して代金を支払ったかどうかといった基本的な確認に加え、業界内の市場価格を確認した上で、価格設定の方法や根拠、取引の実態などについて細かく質問します。

役員退職金

役員退職金は、一般に会社が自由に金額を設定できますが、全額損金算入を認めると、所得操作の温床となります。

したがって、税法上、合理的と考えられる金額を超える部分は、損金不算入の費用として処理することが求められています。この判断の根拠は明確に説明されなければなりません。

固定費

固定費とは、事業の運営状況にかかわらず、一定程度必ず発生する費用(家賃など)のことです。

通常、毎期変わらない固定的な金額のことで、金額が大きく変動すると税務調査で調べられることになります。

例えば製造業では、固定費は製品の原価に含まれなければならないという原則があります。

社屋および車両の取得

社屋や車両には、一般的に大きな価値があります。

また、損金算入される支出額は、減価償却時の耐用年数の決定により異なります。

そのため、税務調査では、会社の建物や車両を購入した期間中の判断が正しかったかどうかが問われます。

また、税務調査では、会社の建物や車両を購入する際の取得原価に、経費として計上されているものが含まれているかどうかも調査されます。

税務調査対策時に欠かせない手続き

税務調査対策時に欠かせない手続き

ここからは税務調査時の実際の手続き・流れについて解説しておきます。

しっかり理解した上で、税務調査の対策を怠らないようにしてください。

税務調査のお知らせ

税務調査が行われる場合、通常、担当の税務署から納税者へ連絡があります。

相続税などの個人納税者の税務調査の場合、納税者が自宅にいないことを考慮して、税務調査の予定日時を知らせるハガキや手紙が送られてくることも。

税務調査の対象となる期間がわかっていれば、事前に税務調査用の書類を整理して準備することができます。

必要な書類等は、会計士や税理士と相談し、作成することをおすすめします。

その後、電話口で部署と対談相手の名前をメモし、担当の税理士とスケジュールを相談して折り返し連絡することを伝えます。

この場合、できるだけ早く担当の税理士または担当の監査法人に連絡してください。

顧問税理士にもスケジュールがあり、税務調査当日に対応できないこともあるので、できるだけ早く連絡することが大切です。

税務調査の調整

どうしても外せない大事な用事がある場合は、税務署に「税務調査の日程を調整できないか」と相談してみるとよいでしょう。

しかし、リスケジュールを頻繁に行うと、次の税務調査の時に税務署から変な目で見られたり、何か隠そうとしているのではないかと疑われたり、税務調査の際に偏見を持たれたりする可能性があります。

税務調査への対策

税務調査では、販売店、仕入先、下請け先、取引件数、銀行や会計士の名前などを聞かれます。

売上に関しては、請求書発行から入金までの流れ、売掛金の計上、通帳の空白などをチェックし、購入に関しては、仕入、外注費、給与、交際費など、主な支出項目をチェックしています。

また、労働者を雇用している企業に対しては、労働者の源泉徴収税や、高額資産の購入の取り扱いの妥当性などをチェックします。

そのため、これらの場所にある帳簿や伝票類は、日頃からきちんと整理整頓しておく必要があります。

税務調査当日

監査は、事業規模にもよりますが、中小企業では通常2〜3日で終了します。

初日の午前中は、監査対象の概要説明から始まります。

このとき、代表者は会社案内や組織図などを使って、事業の詳細を説明することが望ましいです。

調査員は、午後に何を重点的に調査するか、時間をどのように配分するかなど、税務調査の戦略を考えることができます。

そして、実際の調査は午後以降に行われる予定です。税務調査を効率的に終わらせるためにも、調査に協力的な姿勢を示しましょう。

まとめ

まとめ

今回の記事では、税務調査への対応方法と、税務調査がどこまで行われるかをご紹介しました。

税務調査の実施に精通し、その対策に万全を期している税理士に相談することが必要です。

税務調査対策を入念に行いたい方は、下記から無料相談の予約ができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。