税務調査に弱い事業所は?対策と傾向を徹底分析!
税務調査とは、税務署員が会社や事務所にやってきて、税務申告がきちんとされているかどうかをチェックすることです。
税務調査は、ある日突然、税務署から電話がかかってくるところから始まります。
税務署というだけでもなんとなく怖いのに、いつ電話がかかってくるかわからないというのは不安なものです。
しかし、税務調査の確率を知っていれば、安心できるのではないでしょうか。
税務調査の確率とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
税務調査とは
税務調査とは、税務署など国税当局の職員が行う納税者への立ち入り調査のことです。
職員が直接会社や事務所を訪問し、帳簿や領収書などの書類を確認し、正しい申告がされているかどうかを判断します。
調査は2〜3日かけて行われ、過去のデータも詳細に調べられます。
調査の結果、不正が発見された場合は、追徴課税などの罰則が課されることもあるため注意が必要です。
税務調査の対象
税務調査というと、大企業ばかりが対象となるように思われることもありますが、実際にはそうではありません。
大企業だけでなく、中小企業や個人事業主など、すべての事業者が税務調査の対象となるのです。
白色申告でも青色申告でも、また確定申告をしていなくても、どのように申告しても税務調査の対象になる可能性があります。
税務調査の頻度
会社などの法人は、一般的に10年に一度程度の頻度で、税務調査を受けることになります。
事業の種類や過去の不正の履歴によっては、3~5年に1回程度の頻度で税務調査が行われることもあります。
また個人事業主は会社よりも事業規模が小さいので、調査される頻度が低いのは事実です。
しかし、個人事業主だからといって税務調査を避けられるわけではありません。
小規模とはいえ、個人事業主に対して行われる税務調査は毎年確実にあります。
法人・個人にかかわらず、いつ税務調査が来てもいいように心構えが必要なのです。
税務調査の割合は?
ここからは税務調査の割合について、国税庁のデータをもとに見ていきます。
参照:国税庁『令 和 2事 務 年 度 法 人 税 等 の調 査 事 績 の概 要』
国税庁が法人に実施する税務調査は約3%
国税庁は毎年、所得税の申告件数と消費税の税務調査実施件数をデータで公表しています。
所得税、相続税、消費税の簡易調査を合わせると、年間約60万件の税務調査が行われており、税務調査が実施される確率は「実査率」から読み取ることができます。
2008年の法人税の実地調査率は3.2%なので、法人に対して約3%の割合で税務調査が行われていることになります。
個人事業主に対して行われる税務調査率は?
一方、主に個人事業主に適用される所得税の立入検査率は1.1%で、個人事業主には約1%の割合で税務調査が実施されていることになります。
ただし、これはあくまでも申告書を提出した場合の実績であり、申告書を提出していない事業者に対しては別途調査が行われると考えれば、データに現れない税務調査の割合はもう少し高くなるでしょう。
税務調査をされやすい事業所
税務当局がすべての申告書について同等の調査を行うことは困難です。一定の条件のもとで選ばれた企業に対して、より詳細な調査が行われると考えるのが現実的です。
では、税務調査の対象になりやすい条件とはどのようなものでしょうか。
税務調査で税務当局が重視するのは、以下のような点です。
海外との取引量が多い
外国との取引量が多い事業者は、その取引が消費税法上適切かどうかが重視される傾向にあります。
資産隠しのために海外に資産を移していないか、国外に設立した会社を使って租税回避を行っていないかなど、脱税の不正に対して税務当局がより強い姿勢で臨んでいるように見受けられます。
シェアリングエコノミーへの関与
税務当局は、民泊事業や外食事業など、近年台頭してきたシェアリングエコノミーに関わる事業者の実態把握にも力を入れています。
適切な申告が行われているか、税務・帳簿が正しく行われているか、是正措置も含めて調査しているケースも多いようです。
売上が急激に伸びている
税務調査を行うには、担当者を派遣して数日間かけて書類をチェックするなど、税務署側にも一定の時間と手間がかかります。
また、修正申告や多額の追徴課税を行う可能性が高い事業者ほど、税務署は積極的に調査を行うことになります。
資産が大きい企業や売上が急拡大している企業に対しては、専門チームを設置して調査を行うケースも多いです。
これらの特徴はあくまで一般的な考え方であり、実際には当てはまらない事業所に急な税務調査が入ることもあります。税務調査に対する不安がある方は、お気軽にご相談ください。
コロナ禍における税務調査の頻度や確率は?
新型コロナウイルス感染症の拡大により、税務調査に関しても大きな影響や変化がありました。以下でどのような変化があったのかご紹介していきます。
新規の税務調査の中止
(1) 非常事態宣言が出された2020年4月から2020年9月末まで、新規の税務調査が中止された。
(2) 2度目の非常事態宣言が出された2021年2月から2021年4月中旬まで新規の税務調査が中止された。
国税庁は、税務調査官と納税者、税理士が直接顔を合わせる実地調査の性格上、いわゆる「三密」調査を回避することが困難なため、新規の税務調査を停止するという異例の判断を下しました。
しかし、国税庁は税務調査の件数を増やしている最中であったため、コロナ災害が終われば、停止による遅れを取り戻したいと考えていることが予想されます。
従って、税務調査件数は今後増加することが予想されるのではないでしょうか。
また、緊急経済対策として実施された持続可能性給付や、家賃補助給付などの税制の利用による申告漏れ所得の発見など、税務当局のチェックが厳しくなることも考えられます。
コロナ災害で難しかった、という言い訳は税務署員には通用しないので、きちんと申告しているか、漏れがないかを事前に確認しておくことをおすすめします。
税務調査の確率を減らすための対策
税務調査を受けると、ほとんどの場合、何らかの指摘を受け、修正申告などの対応を迫られることになります。ここでは、税務調査をの確率を減らす方法を紹介します。
- 日々の経理を丁寧に行う
- 確定申請書はなるべく詳しく記入する
日々の経理を丁寧に行う
日々の会計を丁寧に行う税務調査の可能性を低くするために最も重要なことは、正しい確定申告をすることです。
当たり前なことだと思われますが、意外とできていない企業も多いです。正確な確定申告を行うためにも、日々の帳簿付けを丁寧に行うようにしましょう。
確定申告書はできるだけ詳しく記入する
確定申告書を記入するときは、できるだけ詳しく書きましょう。
そうすることで、税務署からの信用が高まります。
確定申告書作成時のポイント
- 確定申告書に異常な数値がある場合は、その理由を詳しく記入する
- 勘定科目の内訳を「その他」のままにせず、詳細を記載する
- 過去数年間、期末残高が同じ買掛金や未払金がある場合は、備考欄にその理由を記入する
売上が大きくなればなるほど、社内で管理するのは難しくなってきます。確定申告でお悩みの方は一度ご相談ください。
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申告ミスや脱税があった場合の調査期間について
税務署は会計年度ごとに税務調査を行うわけではなく、通常、数会計年度の期間を調査対象期間として指定し、納税者に通知します。
そして、その期間は、以下に述べるような不正がない限り、通常3会計年度分です。
ただし過少申告が悪質な所得隠し、すなわち「虚偽その他不正の行為」と認定された場合、税務署は調査対象期間を、最大7年間延長することができるのです。
つまり、税務調査の対象となる期間は、最低3年から最高7年までとなります。
納税者の申告ミスや脱税が発覚した場合の措置
納税者が申告ミスや脱税をしたことが判明した場合、以下のような措置を講じる必要があります。
- 法人税や所得税など、本来納めるべき「本税」
- 本来の申告期限から結果的に納付が遅れたことによる「延滞税」
- ペナルティとして、「過少申告加算税(無申告加算税)」
特に過少申告加算税については、悪質だと判断された場合には、「過少申告加算税(無申告加算税)」ではなく、「重加算税」というより高い税率が課されることになります。
また、調査官の指摘が自分の犯したミスや不正によるものであれば、無駄に抵抗するのではなく、修正申告を受け入れた方が良い場合が多いです。
その際に自体を悪化させないために、顧問税理士を雇っておくことをおすすめします。税理士がその場にいることで、税務調査時にも適切な判断をすることができます。
おわりに:リスク回避のため、早めに税理士に相談しよう
このように、実際の申告率が低くても、いつか税務調査が来るかもしれないという危機感を持って、日々の記帳や決算を正確かつタイムリーに行うことが大切です。
しかし間違った計算をしていなくても、いずれ調査に選ばれる確率は、事業継続期間が長くなるほど徐々に高くなるのです。
一報、税理士から継続的に指導を受けることにより、今後の税務調査の際の安心につながるのではないでしょうか。近い将来、税務調査があった場合にも安心です。
税務調査時のリスクを極力抑えるために、税理士への相談はお早めに行ってください。